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映画「借りぐらしのアリエッティ」レビュー/感想

2010年08月02日

スタジオジブリの最新作映画、「借りぐらしのアリエッティ」を観てきたのでレビューです。

あらすじ

とある郊外に荒れた庭のある広大な古い屋敷があった。

その床下で、もうすぐ14歳になる小人の少女・アリエッティは、
父ポッドと母ホミリーと3人でひっそりと静かに暮らしていた。

アリエッティの一家は、屋敷の床上に住むふたりの老婦人、
女主人の貞子とお手伝いのハルに気づかれないように、
少しずつ、石けんやクッキーやお砂糖、電気やガスなど、
自分たちの暮らしに必要なモノを、必要な分だけ借りて来て暮らしていた。

借りぐらしの小人たち。

そんなある夏の日、その屋敷に、
病気療養のために12歳の少年・翔がやって来た。

人間に見られてはいけない。見られたからには、引っ越さないといけない。
それが床下の小人たちの掟だったが、アリエッティは翔に姿を見られてしまう….。

感想(注!ネタばれ含みます)

映画を観に行く前にネットのレビューを観たところ、あまり高い評価ではなかったので過度に期待はせずに観に行きました。しかし、映画の導入から中盤までは、かなり魅入ってしまいました。この映画を見る前に、「トイストーリ−3」を観ていたのですが、比較しても「おお、はるかにこっちのほうが映画として面白いじゃないか!」と本気で途中までは思っていました。

映画館で観るのにふさわしい美しい美術、音楽に、ストーリーも引き込まれます。正直、作品の途中までの完成度なら、全盛期のスタジオジブリ作品にも引けを取らないくらい良い出来だと思いました。本当にスタジオジブリらしい作品なのです。現実を忘れさせてくれるような美しい情景に音楽、共感できる魅力的なキャラクター。(ジブリファンである私にはかなりつぼな出来でした。)

しかし、中盤以降、どうにも映画が迷走をはじめてしまします。まず、本作品でのいわゆる悪役である「ハル」というおばあさんと、アリエッティのお母さんの描写が非常に出来が悪いのです。この2人が画面にでてくるだけで、観客はうんざりした気持ちにさせられます。それくらいひどい描写です、悪く言えば手抜きで、人間的に魅力がないのです。悪役ですら、魅力的に描くのが昔のジブリ作品だったのですが….。

これで、これまでに積み重ねてきたせっかくの良い映画が台無しになってしまいました。映画の公開期限が迫ってきて余裕がなくなってきたのか、非常に完成度の高い前半部分から中盤にかけてと、中盤からラストにかけての出来が違いすぎます。ストーリーに関しても、なんだかうまく話しがまとまらないまま、無理矢理終わらせてしまったという感じが残ります。(総じて最近のジブリ作品は、後半部分のストーリーがよく分からないものが多い気がします。)

ただし、前半部分に関しては、往年のジブリ作品を思い起こさせてくれるような素晴らしい出来であったと思います。なので観に行って損をしたとは思いません。また、今回のの監督を務めたという、米林さん(マロとよばれているらしい)についてですが、現在のジブリ一番のアニメータさんということで、作画力に関しては確かに素晴らしいものがあると感じました。DVDで出ると思いますが、美術の素晴らしさを観るだけでも、映画館に足を運ぶ価値はあると思います。

管理人的評価:★★★★☆ 4/5 途中までは非常によかったのでおススメです。

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