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映画「コクリコ坂から」評価/感想/レビュー

2011年07月17日

コクリコ坂から

7/16(土)から公開されている、スタジオジブリの最新作「コクリコ坂から」を観に行ってきたので、感想を書こうと思います。

感想を一言で書くならば、なかなか面白かったです。個人的には、ハウル以降のジブリ作品の中では一番面白い作品になっていたと思います。

この作品は、ジャンル的にいうとすれば、青春映画です。それも、今を生きる若者ではなく、今の団塊の世代と言われる世代の若いときの時代を舞台にした、とある男女の青春を描いています。
これまのジブリ作品の中でいえば「耳をすませば」「海が聞こえる」あたりが近い作品だと思います。
ただし、上記の2つや、これまでのジブリ作品とはまた違った独特のイメージの作品になっていると思います。

ストーリーに関しては、細かい部分に関してはこれから観に行く人もいると思うので割愛しますが、淡々としたストーリーかと思いきや、中盤から後半にかけては、思いがけない展開がいくつかあります。
良く練られている脚本で、さすが宮崎駿監督が選んだ題材なだけはあると思いました。

また、時代背景は異なるものの、主人公や登場人物の生き方を通して、今の若者に訴えかける要素も十分にあると思います。

と、これまでのところ良い点ばかりを書いていますが、マイナス点もあると思いましたので、書いておきます。(これはちょっと厳しい意見になりますが、3つ程書いておきます)

まず、脇役(エキストラ)の描写のレベルが低いということです。
ストーリーに直接関わるようなキャラクターの描写はいいですが、ストーリーには余り関わらないような、エキストラのキャラクターの描写が手抜きで、レベルが低いと感じました。これはゲド戦記でも同じことをかんじたので、もしかすると宮崎吾郎監督のくせなのか、そこまで手を回す余裕がないのかもしれません。個人的には、作品中に、かなりげんなりするような描写が何回もありました。

あとは、感情表現の方法が露骨というか、オーバーすぎる箇所があるということです。
例えば照れたときに頬を赤くしたり、悲しいときに涙を流したり、、、というような感情表現が、割と回数が多く、いってみれば表現が露骨なため、もうちょっとこういった直接的な表現を使わずに、うまいこと表現することが出来ないものかと思いました。

あとは、時代背景の説明がないので、いつの時代なのか分かりにくいということです。
時代は現代ではなく昭和なのですが、学生運動が盛んだったりと、現代の若者からしてみると、かなり違和感を感じると思います。ただそういった時代背景であることの説明があまりないので、観る人にとっては「?』な状態なまま見続ける人もいるのではないかと思います。

とまあ、厳しい意見も書きましたが、個人的には非常に楽しめました。
いろいろな障害がありながらも、不器用にもまっすぐにぶつかっていく主人公達の姿には、これこそスタジオジブリ作品といったかんじがしました。
また、ジブリ作品ですので、毎度のことながら美術や音楽はもちろん素晴らしいですので、これを観るだけだけでも、映画館へ足を運ぶ意味もあると思います。街並みや、建物を描く美術はさすがといったところです。

好みの分かれる作品だと思うので、厳しい意見も出るのではないかとは思いますが、宮崎吾郎監督をはじめスタッフが非常に良く頑張っていて、良い作品になっていると思います。
ただし、上記のようなマイナス点がやや見受けられたため、これらがクリアされていれば、傑作と言える作品に化けていた可能性もあると思うので、そういった意味では惜しい作品であるともいえると思います。

個人的評価:★★★☆ 4/5
マイナスな面もあるものの、見終わった後に清々しさを感じる、良い作品と言えると思います。
ストーリーは子供向けというよりは、どちらかというと大人向けなかんじです。

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